'97-6月 田植え・さなぶり

苗を欲張らずに植えた結果が楽しみの巻

何やら懐かしい風景。そう、お尻を突き出した格好で手で植える田植えを前に見たのはいつのことだっけ。そのクラシカルな田植えを自分がするなんて、ちょっと信じられない気分。

 

3列毎に紐を張って15センチ×30センチの4隅に4~5本ずつ、三本の指で一掴みした苗を差し込むように植えていく。そのことはさほど難しくはないが、真っ直ぐ後ずさりして植えていくのは至難。結局私は女房とその母に植えるのをまかせ、畦から苗を供給したり、もうちょっと右などと軌道の修正を指示したりする役回りになってしまった。

 

この日も学校の先生方が、クラブ活動の中高生を連れてきてい、長細いわが家の田圃の一部も端の方から女の子2人男の子1人の3人の中学生の実習に提供した。段ボールを15センチ×30センに切ってゲージがわりに渡しておいたが、女の子2人は裸足で田圃に入り、仕上がりは上々の98点、男の子は、大きな長靴でよろけながら植えていたので、かなりいい加減。60点という感じで、義母が長靴の後を均し、かなり修正をしなければならなかった。

 

植えた田圃によって、苗が10本くらいの見るからにたくさん収穫できそうなのもあるが、わが家はインストラクターの4~5本でも一株からとれる収穫は変わらないというプロの教えに従った。多分欲張らない方がいいと思うが、結果がどうでるか楽しみである。

 

田植えの後の農家の習慣である”さなぶり”も一人前に行った。早苗振る舞いという語源だそうで、豊作を祈願しながら田植えを終えた労をねぎらう楽しい宴会だった。地元のお母さん方が、われわれ都会の者のために、めずらしい小麦もちを作って振る舞ってくださった。小麦と餅米を蒸して作る小麦もちは、さなぶりのときの習慣だったが、最近は途絶えていたのを復活したとか。まことに頼りないわれわれの存在が、ムラの活性化を刺激している部分も、多少あるとすれば嬉しいことだ。(1997.6 by 陽)