'97-5月 田植え前の草刈り

リゾート系に走る都会人の農作業ファッションの巻

ゴールデンウイーク明けの快晴の日曜日。田圃作業の第一日目が始まった。

 

田植え前の草刈りの日。都会から来た農作業1年生のわがファッションはといえば、半袖Tシャツに半ズボン。後はビーチサンダルに軍手。なんだかこれからキャンプでも始めそうないでたちである。鎌を使って草刈りを始めると、すぐリゾート系ファッションの欠陥が露呈することになる。草の葉で腕は傷だらけ、とくに草をつかむ左手のイガイガがひどく、腕時計ができなくなってしまった。

 

プロの農家のおじさんたちはと見れば、長袖に、作業ズボン、長靴、頭にはトラクターメーカー名入りの帽子、腰にはタオルがぶら下がっている。何の変哲もないこのいでたちこそが、隙のない農作業ファッションなのだ。おばさんたちは、前半分がつば広の麦藁帽になったほうかむり、もんぺ、腕にはめた手甲の意味が今はよく分かる。オーナー仲間でも、女の人はさすがにこの格好を見習っている人がいる。そしてそういった隙のないファッションは格好良く、もんぺスタイルもなかなか新鮮だ。

 

この次からはいよいよ田圃に水が入るから、地下足袋か裸足になるつもりで服装の用意をしてくるよう注意を受ける。長靴では田圃に入っても身動きがとれないのだという。どうしてもリゾート系ファッションに堕してしまう、われわれおじさんたちも、ひとつ、祭りの若衆のあのバッチ姿くらいは見習いたいものだ。(1997.5 by 陽)