'97-10月 レンゲの種蒔き

雉に見送られながら早々に帰るの巻

今日は明日香の棚田でレンゲの種蒔きがあった。来週の日曜日(10.19)の稲刈りを前に、来春の棚田を薄紅色一色に彩る長閑な風景を心に描きながら、今、種を蒔いておくのだ。レンゲは土を肥やす養分にもなる。

 

レンゲの種蒔きそのものは、1班7人(田圃1アール×7)に1キロの種を3袋割り当てられすぐに終わった。今日全員集合がかかった理由はもう一つあって、棚田のインストラクターの在所、稲渕の里は秋祭りなのである。それに合わせてわが棚田米づくり見習い隊も、棚田ハウス(文字通りハウス栽培のハウスをそのまま使ったわれらのサロンスペース)で芋煮会を催すことになった。畑も借りているメンバーの中には、この日のために里芋を植えている人もあるほどなのだ。

 

集まったメンバーは思い思いに畑へ野菜を調達にいったり、子供を村祭りのちびっ子広場に連れていったり、朝から誰かが茹でた枝豆を肴に、生ビールをぐいぐいやっている人もいる。なぜかビールは、本格的な樽生が飲めるようにいつ来てもしつらえられているのには感心する。維持管理の手間は大変だと思われるが、それをいとわない人が現にいるということ。今夜用に、今日も樽を2つばかり買いに走ったようだ。

 

わが家でも来年からは畑も借りるつもりだ。他の田圃だけのメンバーも来年は畑もやりたいという人が多い。畑で野菜を作ると、明日香へ来る回数が確実に増える。キューリなど一週間放っておくだけでも、とてつもないお化けキューリを収穫するはめになる。それだけメンバー同士が親しくなるし、地元の人々との交流も盛んなのは羨ましい限りなのだ。

今日は一人バイクを駆って明日香へきた。わが家でも夕方から息子の友人が7~8人集い、宴会を催すのである。妻や義母は座布団のカバーを換えたり、何かと段取りがあった。そしてわが街古市もにぎやかな祭り太鼓に包まれている。私は明日香で、とっておきの純米酒右近橘を仕入れ、早めに家路についた。なんとわがバイクを雉が見送ってくれているではないか。明日香には打ち出の小槌みたいに何やらいろいろなものが詰まっている。(1997.10 by 陽)