'97-5月 種蒔き・荒田起こし

いよいよ米づくり第一歩を踏み出すときがきたの巻

ゴールデンウイーク明けの快晴の日曜日。田圃作業の第一日目が始まった。

 

最初の仕事は藁上げ。去年の藁の小束を束ねて、一束いくらで売るのだという。インストラクターのおじさんたちの指導で、一抱えある束に束ね、道まで出す。オーナーの中に学校の先生が何人かおられ、クラブ活動として中高生に農業体験の機会を与えておられる。彼らは、まことにぎこちないのだが、取り組み方は本当に真剣そのもの。まだ日本に、こんな純朴な中高生がこんなにいる!のは感動ものだった。こんな経験こそ、もっと多くの学校で教育の一分であって欲しいと、願わずにいられない。

 

苗代作りは、手動式の簡単な機械を使って行われた。人の手で、トレーに一つ一つ土を入れ、機械を通してムラ無く種米を蒔きつけ、肥料を被せる。この方法の開発は米作りの生産性を大きくアップしたようだ。われわれは試しに余った種米を大昔のやり方で泥の苗代にも蒔いてみた。発芽状態の違いは何十倍にもなるという。田植えのときにそれを確認できるはずだ。

 

苗代作りは、手動式の簡単な機械を使って行われた。人の手で、トレーに一つ一つ土を入れ、機械を通してムラ無く種米を蒔きつけ、肥料を被せる。この方法の開発は米作りの生産性を大きくアップしたようだ。われわれは試しに余った種米を大昔のやり方で泥の苗代にも蒔いてみた。発芽状態の違いは何十倍にもなるという。田植えのときにそれを確認できるはずだ。

 

荒田起こしは昨年稲を刈った株が残り、春にレンゲが咲いていた田圃を再び掘り起こし、表面を均す作業。農村を舞台にした小説などでも、一番つらい作業として描かれている。これは、手押し式の小型耕耘機の独壇場である。一人が借りている1アールくらいはあっという間に済んでしまう。少なくともこの程度の機械化がなければ、今時日本で農業をやる人はいないだろうと思った。

 

だが、聞けば、農業の収益でこれらの機械を償却することなど全く不可能なのだそうだ。そこで働きに出る。早朝の見回りと、土日の農作業。都会から来ているわれわれと変わらない日常に農業が組み込まれている。それが私たちがお世話になっているインストラクターの方々の、一般的な実状のようだった。(1997.5 by 陽)